味醂のキホン&味醂醸造蔵見学〜甘強味醂〜
こんにちわ!
発酵食品と聞くと、特別なもののように感じますか?
身近に発酵食品は沢山ありますね。
その中でも毎日必ず食事に欠かせないものが、調味料。調味料の中にも沢山発酵食品が含まれていますよね。
日本の家庭料理で必ず使う、
『さしすせそ』
→砂糖・塩・酢・醤油・味噌
の事ですね。
このうち、
砂糖の意味には、『甘味』の意味を含んでいますので、お酒、そして味醂も含まれています。
今日はこの、日本食文化を語るのに欠かせない『味醂』についてお話ししましょう。
味醂はとても歴史が古く、400年前から作られ、初めは甘いお酒として飲まれました。(味醂に10種類以上の生薬を漬けた『お屠蘇』という、邪気を払い健康を願う、お正月の縁起を担ぐお酒です)
その後、庶民にも広がり、江戸時代後期以降、料理の甘味旨味を加え、素材の味を引き出すお料理の大事な調味料として使われ続けています。
アルコール数は14%あり、混合酒の分類に入ります。
日本関税協会による、味醂の定義はこちら↓
みりん
次に掲げる酒類でアルコール分が15度未満のもの(エキス分が40度以上のものその他酒税法施行令第5条第1項に規定するものに限る。)をいう。
イ、
米及び米こうじにしようちゆう又はアルコールを加えて、こしたもの
ロ、
米、米こうじ及びしようちゆう、アルコール又はみりんにその他水のほか、①とうもろこし、ぶどう糖、水あめ、たんぱく質物分解物、有機酸、アミノ酸塩、清酒かす又はみりんかす又は②米又は米こうじに清酒、しようちゆう、みりん若しくはアルコールを加え、又はこれにさらに水を加えて、すりつぶしたものを加えて、こしたもの
ハ、
みりんにしようちゆう又はアルコールを加えたもの
ニ、
みりんにみりんかすを加えて、こしたもの
簡単にいうと、
“米や米麹に焼酎を加えてこすと、味醂”
という意味ですが、
特にその加えてからこすまでの日数指定はありません。
極端に言えば、材料があって、1日だけ浸しておいてこしても、味醂だと言えちゃいそうなんですよね。
逆に、1%未満のお酒に旨みや甘みの調味料を加えたのが、『みりん風調味料』。
こちらは食品扱いで、味わいは全く別物。
実は、台湾では驚くことに、このみりん風調味料が、“味醂“として売られています。
味醂と書いて売っても日本のように罰則がないのでしょね。
もっと台湾に日本の味醂の美味しさと、便利さと、その可能性を知ってもらいたいと思うようになりました。
以前から私がお料理に使っていた味醂は、
・甘強味醂 昔仕込み本みりん〈甘みと旨みがしっかり色も濃い〉
・杉浦味醂 1年熟成本みりん 〈色は琥珀色甘みはしっかり〉または3年熟成〈甘みと旨みがしっかり色も濃い〉
・白扇酒造 福来純本みりん 〈まろやかなコク〉
以前使用していたものは以下以外も沢山ありますが代表的な銘柄は
・角谷文治郎商店 三州三河味醂 〈お酒の風味がしっかり〉
・九重味醂 九重桜〈色は琥珀色でまろやかな旨み〉
最近は
・川石本家 手柄山味醂 延寿 〈雑味のな丸い味と旨み〉おすすめ!
も新たにラインナップしました。
その中でも、以前醸せ師の醸造巡り研修で甘強味醂さんを伺っていてそれからよく使わせていただいていること、台湾で唯一日本の味醂はこちらの甘強味醂さんが売られていた(私個人調べ)こと、またこんなコロナ渦中で蔵見学を快く承諾してくださったので、有り難く醸せ師仲間3名で行ってきました。
甘強味醂を造る甘強酒造さんは、1862年創業なんと150年の歴史を持ちます。現在社長は7代目。
蟹江町という、蟹江川が眼の前に広がる、気持ちの良い空気が流れる場所に甘強酒造さんの蔵、事務所兼住宅が建っています。
昔はこの辺り一体大きな土地が甘強酒造さんの土地だったそうです。
では、味醂を醸造されている蔵の内にはいらせていただきます〜〜
ホーロータンクがたっくさん!年間100万リットル(!)も造られているそうですから、当然ですね。
このホーロータンク、もう作っているメーカーさんが居なくなってしまったみたいです。
昔の作り方をする蔵が少なくなっている影響でしょうね。
●味醂の材料は、
⒈糯米
2.米麹
3.米焼酎又はアルコール
まず、1の糯米、1日3トンの糯米をこの大きなタンクを使って蒸して、それに対して米麹300kg使うそうです。
そして隣には、出来立ての味醂用米麹。
空気に触れさせて温度を下げているそう。甘みが出るように、アミラーゼ多めだそうです。甘強味醂さん〈甘みの力強さ〉のモトはここにありそう♪
材料の1つであり、大きな要の米麹。1日かけて乾燥させていく、最後の行程の部分。800kgもあるそうです。
この渦巻き、美しいわぁ〜。
こちら、先週仕込んだ米焼酎。(光が当たっていて見にくくてごめんなさい。)
お米のあま〜い香りが広がります。
↑こちらはちょうど今朝!!仕込まれたもろみ。(画像粗くてすみません!!)
中身は、麹ともち米とアルコール。
アルコールが麹と馴染んで液体が上がってきたら、櫂入れをして、空気を含ませることで麹の働きを活発にさせるんだそうです。
こちらは60日間、寝かせるそうです。
まだ若い香り。これからどんどん糖が分解されて、馴染んでいくんですな〜わくわく。
こんな感じで貴重なもろみを見させていただき、この時インスタライブをしていたのですが、後から見返すと緊張していたのがよく分かりました。
結構高いところ登ったり、細い道を歩いたり、急斜のある階段を昇り降りしてたのも、ドキドキしました〜〜。
職人さんたちは毎日この辺りを行ったり来たりしてらっしゃるのですよね。すごい。
こちらは別場所でいただいた、みりん粕。機械で圧をかけた残りの粕の部分。
これが美味しーーーい♡
甘いんだけどコクがあって、お酒の香りもあって、無限に食べれちゃう。でもアルコール5%もある、キケンなオトナのオヤツ。
ちなみに、こぼれ梅だと10%あるんだそうです。
色んな味醂のお話も沢山お聞かせいただいたのですが、
印象に残っているのは、
●醤油や日本酒消費量がどんどん落ちていっている状況の中、味醂は今も昔も消費量はほぼ横ばいで、料理の中で無くてはならない存在だという意味だとすれば、まだその可能性もあると思う。これからは商品開発にもさらに取り組んでいく。
というお話でした。
確かに、甘強酒造さん、西京焼きタレも美味しいです(^^)そして、とっても楽!!
また、海外へも眼を向けられています。
中国には工場があり、また、台湾の第一名店さんの社長さんにもこちらの製品を気に入ってもらい、今台湾で大人気です。私はこれを第一名店さんで見つけた時、1人とーーっても嬉しかったんです。とてもとても心強かったです。
お互いの親交が厚く、最近の新型コロナウイルスで日本が感染拡大したことで、台湾産マスクを大きい段ボール3箱プレゼントしてくれたそうですよ。
これから、味醂を通して世界の人たちが日本食をより美味しく、健康的になっていくのが楽しみです。
とっても親しみやすく、ここでは言えないざっくばらんな色んな裏話も聞かせていただいて、さらに甘強酒造さんが好きになりました。
名古屋駅から乗り換えてすぐなのに、近くに天然温泉もあるという、長閑な街。
酒造さんが多くて、ひつまぶしも美味しい蟹江町に皆さんもいかがですか?
●甘強酒造株式会社
愛知県海部郡蟹江町城四丁目1番地
TEL. 0567-95-3131(代表)https://www.kankyo-shuzo.co.jp/