By みゆき

日本の醤油の作り方と種類

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日本のお醤油ってたくさんの種類がありますよね。

濃口、薄口、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油、、、

何が違うの?

そもそも、どうやって作るのかな?

台湾の醤油との違いを知る際に必ず必要な日本の醤油について、お勉強しましょう~

 

まず、基本。

醤油の原材料は共通して、大豆・小麦・塩の3つです。

 

伝統的な醸造方法をみていきましょう。

①大豆は蒸します。蒸すことで大豆のたんぱく質が変化して発酵しやすい状態になります。

②小麦は炒ります。小麦のでんぷん質がアルファ化して、こちらも発酵しやすい状態になります。(ただし、白醤油の場合は小麦は炒らずに蒸しています。)

③ここで、大豆と小麦に種麹を加えて3日かけて醤油蔵さんが醤油麹を作ります。

④食塩水と醤油麹を合わせます。この作業はいわゆる「仕込み」、出来上がったのが「もろみ」です。

⑤大抵寒い時期に仕込み、最初は低温でゆっくり発酵させ、あたたくなってきたころ、酵母の働きにより香り高いき、気温が高くなって色も濃くなってゆきます。この間約1~2年。

⑥このあともろみを絞り、圧搾します。これでできたのはそのまんま「生醤油」ですね。

⑦加熱(「火入れ」といいます)して殺菌します。これで長持ちします。

⑧ビンにつめて、完成!

これはいわゆる丸大豆醤油の製造工程です。

ここで、疑問が…。

酵母ってどこからくるの?

実は昔ながらの醤油蔵さんは長年木樽を使って発酵させています。

この木樽には酵母菌が住み着いていて、自然と醤油作りに貢献してくれているのです(いわゆる蔵つき酵母)。

逆に大量生産工場などで使う金属製やプラスチック製の容器だと、当然菌はいません。なので、種もろみをいれることで発酵を促します。

 

では次に、代表的な醤油の種類である〈濃口、薄口、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油〉この5種類のお醤油の味の違いって何から来てるの???

 

①大豆と小麦の割合による違い

大豆と小麦の量↓

濃口醤油  50:50

薄口醤油  50:50(又は小麦少し多め)

たまり醤油 100:0

再仕込醤油 50:50

白醤油   95:5

番外編:しろたまり 0:100 〈※JAS法では醤油と認められていません。〉

 

原料の大豆の代表成分タンパク質はアミノ酸となり、旨味のもととなります。

小麦の成分のでんぷん質はブドウ糖となり、甘みのもととなります。

この大豆と小麦の割合が違うと、出来上がる醤油の味が違うのも納得がいくかなと思います。

 

②塩分濃度による違い

濃口醤油  15~16%

薄口醤油  17~18%

たまり醤油 11~12%

再仕込醤油 15~16%

白醤油   18%

 

③色の違い

色はお料理の彩にかかせません。

一番色が浅い白醤油、から順番に、薄口醤油、濃口醤油、再仕込醤油、たまり醤油の順に濃くなります。

ちなみに、白醤油にだしを加えたものが、「白だし」ですね。

茶碗蒸しやお吸い物には色が浅い白醤油を、煮ものには薄口や濃口を、ソースやたれにたまり醤油を使います。

 

では、少しマニアックな醤油のご紹介をしましょう。

「生醤油」とは、火入れをしていないお醤油のことでしたよね。生、と聞くと、「新鮮」というイメージが湧くかもしれません。

実は、この「生」を「き」か「なま」かで醤油の種類は変わるのです。

*「生(き)醤油」

…大豆と小麦と塩を材料として作り、他の調味料で味付けをしていない醤油、という定義なんです。(JAS法による。)火入れとろ過の両方とも施されています。ややこしいですね。

*「生(なま)醤油」

…火入れをする前のもろみを絞っただけの醤油は、微生物がまだ生きているので、売ることはできません。精密なろ過をすることによって、微生物や酵素をすべてなくし、流通できる状態にしています。まとめると、火入れはしておらず、ろ過はしています。

*「生揚げ(きあげ)醤油」

…もろみを絞っただけの醤油で、火入れやろ過もしていない状態の醤油です。微生物も酵素も含まれています。一般的には流通しておらず、醤油蔵やその付近でのみ手に入る貴重品です。(職人醤油の直営店では量り売りしているそうです!!)まさに「新鮮」そのものですね。

最後に…

★醤油に火入れをする意味

フレッシュな生揚げ醤油は豆のうまみをしっかり感じるでしょう。しかし、あえて火入れする意味は、2つあります。

一つ目は、微生物や酵素を失活させて、品質を安定させるため。流通の基本です。

二つ目は、醤油の香りをたたせるため。加熱させることで、特有の風味が際立ちます。もちろんどのような方法で温度帯をどうするか、これは職人の技となり、出来上がりの味を左右します。

 

今回の記事では、一番シンプルな材料で一番伝統的な昔ながらの方法で作られる日本のお醤油を前提にを

ご紹介、お話しました。

実は日本でこのような自然の微生物の力を借りて作られる醤油は減っています。代わりに添加物や薬を使って安価に大量生産している醤油は全体の8割以上。

一概にどちらが良い悪いと簡単には言えませんが、本来の自然な方法で作られるものは私たち人間の身体にとってもなじむのです。逆に薬剤をつかって作ったものは自然な作り方ではないし、私たち人間の体にももちろん影響があるでしょう。リスクや苦労をしながらも、昔ながらの自然の醤油を作り続ける醤油蔵の職人さんを知ってもらいたいし、受け継がれていくべき日本の食文化、食財産だと思います。

今度機会があれば、スーパーに並ぶ安いお醤油(醤油もどき)のお話もしたいと思います。

 

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!!