台湾の伝統市場に美食あり
私が住んでいるところに一番近い永春駅の隣に「虎林市場」という大きな伝統市場があります。
路面の両脇にずらっと野菜や果物や乾物、肉や魚の生鮮食品、服や食器や雑貨や下着まで売っています。
魚が売っている隣に、ずらっと下着や服が所せましと並んで売っています。
でもお客さんは意外といるものです。
その中に、いつも行列をなしている店があって、気になっていました。
朝10時開店で、10時半くらいに行くとすでに10人くらい待ってました。私が並び始めてものの10分ほどで後ろにはさらにたくさんの行列・・・
名前は、『老上海包子』
中国語の「老」は、日本人にとって漢字から想像する「古い、老いている」という意味ではなく、「立派な」というような尊敬するものや人物に対して使います。
「包子」は、饅頭(まんじゅう)全般を指します。
ここのお店の生地は、「老麺」という発酵種を饅頭の皮の製作に使っています。
(こんな風に蒸したてほやほやを売っています。)
この発酵種は、あらかじめ酵母と小麦粉と塩と水を合わせて低温でじっくり長時間(12時間以上)発酵させておいたものです。
そして、あらためて本生地を作るときに、この発酵種を加えるのです。
この発酵種を使って作ると、皮に弾力が生まれて、もっちりとした食感になるんです。さらに小麦粉の香りもより一層感じられます。
日本では比較的柔らかいふわふわの食感のものが好まれますが、台湾では饅頭、餃子の皮は、弾力があってもちっとしている生地が「おいしい」の標準なのです。
ちなみに、この「老麺」には、老麺生地の意味と、ラーメンの意味どちらもあります。「老麺店」がラーメン屋さんだったとしても、決して発酵種を使ったラーメンやさんというわけではないということです。
饅頭のお店で老麺を使っているお店は、それだけ手間暇をかけていることを売りにしていますので、必ず記載されています。
また、写真を見るとわかると思いますが、皮の色がほんのり黄色い色をしているのは本来の小麦の色。見た目の綺麗な真っ白の肉まんは白さを強める添加物を使っている可能性があり、別名”整形肉まん”と揶揄されています。
自分で手作りすると確かに少し黄色味が出るのがわかります。
酵母については、天然酵母かどうかは不明ですが、ベーキングパウダーは使用していません。
肉は台湾産黒豚の後腿肉を使っており、できる限り自然の手作りの味を提供しつつ、味を左右する肉の質にもこだわっているお店のようです。
~ある日の台湾マダムの会話~
急に並んでいる私に問いかけてきた日傘マダム
「ねぇ、ここのお店何がおいしくていつもこんなに並んでるの?」
私「私もわからないから食べてみようと思ってるんですよ。」
私の前に並んでいた常連マダム「この店は老麺使ってるから。ふわふわの柔らかい生地っておいしくないのよ。だから私はここのが好き。QQとしてて、弾力あるのよ。」
日傘マダム「そうね、確かに柔らかいのはおいしくないわ。あなた何がお勧めなの?」
常連マダム「何でもおいしいよ。」
日傘マダム「だからあなたならいつも何頼むの?」
常連マダム「うーん、肉とにらまんかな、あと雑穀の饅頭。」
(私→心の中で、メモメモ。)
日傘マダム「へぇそうなんだ。でもこんだけ並んで買うのも大変だから、まぁいいわ。」と言って去ってゆきました。
私の心の声 「そんなに聞いといて買わんのかーーーい!」
でもこれは台湾日常あるあるです。
長々失礼しました。
ということで、私が買ったのは、「酸菜包」「高麗菜包」「鮮肉包」の3種一個ずつ。掌の半分くらいの大きさです。これで1つ15元合計45元。日本円で150円ほど(2020年5月5日現在)。日本では1つの肉まんも買えないかも。
「酸菜」という、日本でいうと高菜漬けのような(実際は塩漬芥子菜を半干ししたものです)を少しの豚肉と一緒にした肉まんのお味は、
酸味がちょうどよくて食欲進む味!!
酸菜包ひとつ、買ってその場でペロっと食べてしまいました。
高麗菜包はいわゆるキャベツまんで肉なしです。人参と春雨と干しエビが少し入っています。キャベツが甘くて、お肉がなくても十分満足できます。こういう野菜まんは大抵どのお店も売られているのがまた台湾のよいところ。
肉包は、しっかりと具に味がついていてジューシーでした。
皮はほどよく厚め。厚すぎません。たまに、具はほんの少しでほぼ厚い皮、という皮重視のお店もあります。
こちらのものは中間くらいだと(私判断)思います。
次は常連マダムが買っていたニラまんを買いたいですね。
『老上海包子』
台北市信義区虎林街108巷4號
永春駅5番出口を出て左50mで市場、真っすぐ300mほど歩くと路地があり、左側ほどなくお店です。
10時から12時と、15時から19時の2回売りで、早々に売り切れます。