台湾カカオ農園~fuwan chocolate~
『福灣 巧克力』
その名の由来は、「幸福な港湾」。
その名の通り、台湾は南の屏東県(ピントン)の東港という港の近くにチョコレート工場があります。
自社で育てたカカオを自社工場で発酵させてチョコレートにする、いわゆる
‘’TREE TO BAR‘’(カカオの木からチョコーレートにするまで自社で一貫製作している過程のこと)を手がけています。
2017年に、 ICA世界カカオコンクールにて5つの金賞受賞後毎年受賞を重ねている実績があります。
日本でもバレンタイン時期には阪急百貨店に出店しているので、日本の中で台湾のチョコというと、好きな方はご存知の方も多いです。
今回、お友達に紹介してもらって、まだお若い執行長(工場最高責任者)である許さんに、チョコレート工場内を直々に案内していただきました。
チョコレート工場の中に吹く海風はすがすがしくも水気を含み、陽の光がじりじりと大きく、湿度と温度が高い屏東の土地がカカオ栽培に適している土地だと実感します。
収穫して工場に送られてきたカカオの実がたくさん。写真じゃ分かりにくいけどとぅでカラフルで可愛い♡
これを人の手でひとつひとつ割って、中の実を取り出し、杉の木の樽に入れて、バナナの葉で発酵させます。
こちらではバナナの葉っぱは四角に切られていました。
発酵の室内は撮影禁止とのことでしたが、ご説明を沢山していただいたので、そちらを少し。
まず、室内温度と湿度を正確に管理している発酵室の中で、空気中の酵母菌やバナナの葉につく様々な菌を利用してまずは2日間乳酸発酵させます。
その後さらに糖分を利用して菌が酢酸を出します。その期間約3日。
もともとは、肌色に近いカカオの豆がこの発酵過程約5日を経て、赤茶色になるとともに、酸味だけでなく独特の甘みのある香りに変身していくのです。
それを間近でみていると、
こんなに変化していく様を見ていると、神様からの発酵食品だとここでとても実感が湧くし、感動すら覚えるんです。
その後は天日干しと、陰干し両方用いて豆を乾燥させます。
すると、
割ると、パカっといい音がなり、殻の中から出てくる茶色く色づいている豆が『カカオニブ』。この時点ではまだ加熱していないので、いわゆるローカカオニブですね。
これ、最初の中身の色は、白や紫色なんです。
カカオを作る人にとって、この割った時の感触や色で発酵具合の出来不出来がわかるので、緊張の一瞬です。
食べさせていただくと、カリカリ!という心地よい食感に、ほろ苦さだけでなくフルーティさもあります。今まで日本で食べたカカオニブとは全然違うお味です。
その後は機械作業。
完全に乾燥させたら、焙煎させ、豆を機械にかけて殻とカカオニブに分け、ニブと砂糖を混ぜて機械でペースト状にします。
これをテンパリングしてタブレットチョコレートになるのです。
チョコレートがどんなお味になるのか。
それはこのカカオ豆自体の味、発酵の温度や湿度はもちろん、乾燥の具合や焙煎の温度などなどなど。
ただ発酵の仕方について精通しているカカオ農家さんは実は少ないらしく、また、人の手によって発酵させると味に差が出てしまうのは当然で、その辺りが美味しい味が安定しない理由の一つなのですね。だから世界中で例えばコロンビアなどでカカオ工場を作って安定的に発酵させる動きがあります。でも台湾にはそれがまだありません。
台湾国内にあるカカオ農家さん、屏東だけでも30は超えます。もちろん少しずつ味が違っているので、カカオ農家のみなさんそれぞれに切磋琢磨して、また、横のつながりを持っておいしいカカオを作ろうと頑張っていらっしゃるのです。その背景にはカカオを育てることで、労働環境を良くしてより良い社会にしていきたいという思いもあります。
もっとも、フルーツ天国台湾だからこその風味のあるチョコもこれからどんどん発展して、台湾ブランドとして世に知られていくでしょう。
実はこちらはチョコレート工場だけでなく、リゾート施設を兼ね備えています。
皆さんにカカオを知っていただくために、カカオからチョコレートまでの過程を展示した空間も併設されていて、どうやって作られていくのか、またカカオ産地によって味がどう違うのか、それぞれの香りも体験させてもらえる場所です。
そんな風に工夫を凝らしているのもまたいいですよね。
子供達もたくさんいました。
発酵過程もコンパクトに説明してくれています。
これはカカオニブをペースト状にする、コンチングという作業。実際に回っていました。長い場合は72時間も!回します。
ニブからペースト状にするのって、とても大変な作業なので人の手ではなかなか滑らかにはならないのです。
「いつしか、本当に価値のあるチョコレートを作って世に生み出したい」という大きな野望を持った彼は、実際とても物腰柔らかく丁寧で、お茶目さもあって、親しみを持てるお人柄でした。
台湾チョコレートの世界をこれからも見守っていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!!