By みゆき

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台湾で日本家庭料理レッスントラブル満載

私が参加する台湾養生料理教室の中で、突如リクエストがあり、私が講師となって先生とクラスメイトにレッスンする機会をいただきました。

私が話の中で私が料理に慣れているから日本の家庭料理も作れるの?ってなって、それなら肉じゃが教えてほしいー!ってリクエストが上がり、先生も便乗して親子丼お願い、とか言い出して、えぇぇそんな流れアリ?と、びっくりですが、これは台湾のあるあるで、本気で開催されました。

というわけでリクエスト通りの日本の家庭料理の代表 『肉じゃが』と『親子丼』を。

 

出汁の取り方からするのかどうか、迷いました。

でもせっかくするなら、やはり正統な日本の出汁の作り方を知ってもらいたい。

かつお昆布だしを、一から作るところからお伝えすることにしました。

材料の昆布。

クラスメイトの中の50代女性の方が昆布を持ってきてくれるというので、ではそちらを少し水に漬けてきてほしいとお願いすると、「知ってるよ~大丈夫任せて!」と言ってくれて、さすが色んなこと知ってる、すごいなぁ~と感心しました。

ところがこのお願い、当日とんでもないことになってしまったのです…!!!

 

当日たしかに”昆布”持ってきてくれました。

でも

持ってきてくれたのは、水に漬け終わったあとの昆布!!

そう、出汁ガラ🤣💦

笑ってしまいそうになりましたが、優しさと共に持ってきてくださったので、感謝を述べて使うのはお断りし、幸いにも漬けていない乾燥昆布そのままを持ってきてくれていたので、そちらをさっと洗って急いで水に漬けました。

後で聞くと、先生が念のため乾燥昆布を持っていくようにと、言ってくれてあったようなんです。

急いでつけた昆布。なんとものの15分で緑色のヌルヌルが出てくるではありませんか。

日本人歴長いけど、今までかつて見たことのない色とヌメリ。

フコイダンには変わらないのですけど、その量がハンパないのか、すごいです。

めっちゃ不安になりました。

 

とりあえずすぐ火にかけて約60度あたりになるまでゆっくりゆっくり加熱。

昆布を先に取り出して、少し寝かしてから味見すると。。
うーん、雑味が出過ぎている。皆さんに聞いてみると

「うん、海藻の味。」

日本の昆布の味ではないですけど、これでやってみるしかない。

ここに私が日本からもってきたかつおぶしの香りを香ってもらうと、「いい香り~~!!」と、大絶賛。

ここでつかわせてもらったのは、「タイコウ」さんのだし。こちらの鰹節は香りが上品で酸味がなく、多少高温でも臭み雑味が出ません。一本釣りカツオを使用しています。

さて、少し寝かした昆布だしを再加熱して、沸騰する前90度くらいでかつおぶしを投入。すぐ蓋します。

昆布のときも鰹節を入れる時も、台湾のみなさん(先生含む)に共通して驚かれたことは、
『決してグツグツ煮ないこと。』

ということは、煮るものだと思われてたみたいです。
なぜ煮てはいけないのか?の理由と、日本料理の要である出汁はとても繊細で、経験と忍耐のいる技なのだということをお伝えさせてもらいました。

さて、台湾の昆布との日本のかつおぶしのダシ。まさに、日台交流ダシ。

お味は・・・

台湾昆布の味が濃すぎます!

昆布の味が前に出てきていて濃過ぎるので、かつおぶしの繊細な味が負けたのと、昆布に対するかつおぶしの量も少なかったのかと思います。

こんなことになろうとは、想定外でした。

フランスでは出汁が出なくて困ったと聞いたことがありますが、逆バージョンですね。

さて、進みます。

ダシはどちらの料理にも使います。
調味料のうち、醤油は日本式の醤油を。みりんは台湾式みりんを。

肉じゃがの肉は豚肉で。もちろん糸コンつけてます。

私なりの下ごしらえの秘訣をお伝えしながら、みなさんと材料の臭いや野菜の変化をシェア。

異常にでかいジャガイモと人参にビビりながら、やはり大きさの足りない鍋。でもなんとか収まりました。

ギュウギュウ詰め。

出来上がり。

 

 

親子丼はスピードメニュー。さっと作っておいしいやつ。という認識はみんなあるみたいです。

でも半熟卵は危険という認識がかなり強い台湾人。大丈夫かなぁ?と思っていたら高級安全たまごを先生がわざわざ買ってきてくれていました。すばらしい。

肉に下味を何もつけないことにかなり驚かれながら、さっと作り、おいしい台湾花連の花香米の上にかけていただきます。この香りのあるお米、少し芯があり、タイ米のような香り。ところどころ日台融合。

親子丼の最後に、山椒をパラり。先生が七味粉を持ってきてくれたので、ほんの少しそちらもパラり。

味は、もう少し濃くてもいいかなと思いつつ、日本のあっさりした、香りを大事にしたメニューとしてはこのくらいがいいかなと、お味はあっさり目に、卵はしっかり仕上げました。

 

日本と台湾の食習慣の違いがはっきりわかりました。

もちろんどちらがいいとかではなく、どちらも認め合い、尊重することが大事。そもそも日本の食文化は私一世代のものでもない、受け継がれてきた伝統。それと同じく台湾の食文化も伝統。どこに特化してきたか、何を重視してきたかの違いによって、食材や作り方の差が出てくる。

 

台湾の皆さんの感想は、「帰ってから持ち帰ったものを子供に食べさせたらめちゃくちゃ喜んで食べた!」「日本の料理を体験できてすごく楽しかった!」先生からは、「すでにパフォーマンスが素晴らしくていいネ100あげる!」というお言葉も。

 

ありがとうみなさま。

台湾に留学するときに、うっすら確実に夢に描いた「中国語で台湾の人に日本の伝統の料理を伝えたい。」がひょんなことから急に叶いました。

この第一歩は、大きな一歩だなぁと思うのです。

いつもぐっすり眠れる私が眠りが浅くて全然寝た気にならないくらい緊張していた私でしたが、先生の超NICEな助け船がたくさんあり、みんなもとても優しくて、大きなトラブルなく、みなさんも喜んでくれて、とてもうれしかったです。

日本の食を台湾の人に伝える。

私にとってこれほどやりがいのあることはありません。

多謝!