台湾の伝統醤油作り〜麹作り〜
台湾の醤油は、別名「蔭油」と言います。「蔭」は黒豆のこと。
伝統的な台湾醤油は黒豆を使って作るのが一般的なんです。
日本では大豆(「黄豆」と書いて大豆の意味です)を使って作りますね。
台湾にはとろみのある醤油「醤油膏」という種類もあります。これはもち米粉を使ってとろみをつけています。「醤油膏」はとろみタイプ、「蔭油」はさらさらタイプと2種類あります。
◎伝統的台湾醤油原材料 → 黒豆 醤油麹 塩 甘味剤(甘草、麦芽糖、砂糖)
◎伝統的日本醤油原材料 → 大豆 小麦 醤油麹 塩
とってもシンプル。
安価の醤油では大量生産しているからコストが低くなって安いのではなく、作り方がそもそも違います。
薬剤を使ったり、機械を使用することで半年~1年は最低必要な時間を早いと3日で作ってしまいます。
なので、伝統製法で作られる醤油と同じ味にならないため添加物を加えます。
そのような醤油には原材料名に保存剤や甘味料等の添加物が記載されています。
スーパーに売られているものは、ほとんどは大手企業のものです。
いろんな背景がありますが、需要と供給の関係で「調味料は大手企業だったら安心だろう」「毎日使うから少しでも安く」「お店のコスト減」という需要側と、「沢山売りたい」供給側のバランスによって作り出された現状ともいえます。
保存料や添加物をたくさん入れることで発酵させなくても出来上がる技術が開発され、貧困時代にはとてもありがたいものだったかもしれません。安定供給も必要です。
ただ、その裏の面である作り方の変化についてはどこまで伝えられてきたでしょうか。
それを伝える人だけでなく、知ろうとする人、疑問に思う人はどこまでいるのでしょうか。
食生活や食文化を根底的に支えるのは調味料。
特に日本や台湾や中国では醤油を使う料理が多いです。
でも、たくさんある台湾の料理教室でも、調味料を徹底的に選ぶ、もしくは伝える人にはまだ出会っていません。
私が健康的になりたいと思い始めにしたことは、調味料を見直すことでした。
どんなものを選ぶのかを決めるには、どんな作り方をしているのかを学び、いろんな作り手を知り、自分だけの「本物」を選ぶ目ができるのです。
台湾の醤油ってどんな風に作られてるのか、日本の醤油との差を知るのにとても大事。
ということで、台湾の醤油レッスンに行ってきたので、そのリポートをしたいと思います。
お世話になった蔡先生はもちろん台湾の方ですが、実は日本の麹蔵で修業をされた経験をお持ちの方。
台湾国内で5人ほどしかいない、種麹造りのお一人。
超プロフェッショナルな方です。
しかも私の愛用醤油「岡本醤油」(広島県)やミツル醤油(福岡県)で修業されてるんです。
ご説明も日本の醤油への愛が詰まってる。私としてもとっても誇らしくてうれしくなりました。
たまに出る先生の日本語がまたかわいいのです。「コウジ・・、ヌカ・・・、カイ・・・」
醤油つくりの順番としては、まず、
①豆麹をつくります。
浸水した豆を少し硬めになるように豆を蒸す。今回は大豆を使用。
種麹は香りが出るまで炒った粉(小麦粉や米粉等)と合わせる(麹割)。
冷めた蒸し豆と種麹を合わせる(入麹)。
↓
この時は28度 くらいの気温がベスト。
→こちらをさらしに包んで約1日放置した後、固まっている麹をほぐして扇風機等で乾かします(手入と言います)。この時麹の温度は36度近辺になっています。
→さらに6時間ほど放置して、もう一度手入して湿気や嫌な臭いを飛ばします。
→最後に、温風をかけてしっかり乾かします。
約3日で豆麹は完成です!
さて、次はいよいよ本仕込。
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