By みゆき

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豆腐乳の工場へ潜入して豆腐乳手作り体験

Categories : 発酵

台湾独自の発酵食品と言えば何が思いつきますか?

 

「酸白菜」生の白菜を干して塩につけて乳酸発酵させる

「酸菜」 生のからし菜を干して塩につけて乳酸発酵させる

「酒醸」 もち米を蒸して酒麹と一緒に混ぜて発酵させる

「紅槽」 もち米を蒸して酒麹と紅麹を混ぜて発酵させる

「豆鼓」 蒸した黒豆を発酵させて醤油麹菌と塩を混ぜ合わせて発酵させる

「豆腐乳」塩漬けした豆腐を米麹と豆麹で発酵させる

 

中国大陸から発酵食文化が渡ってきたのち、台湾人が独自に発酵食文化を継承し続けています。

上に挙げたものはほんの一例であるし、しかもその種類も作り方も地域によって違います。
作り方は各地域ごとに違っていて、一概にこの通りではありません。

 

中には日本の発酵食文化と近い物もありますね。

例えば、

「酸白菜」は、いわゆる白菜漬けによく似ているし、

「酒醸」は、見た目は甘酒に似ています(実際は全く別物、使っている麹の種類が違うので味が違います)

「豆鼓」は、京都の大徳寺納豆に似ています。大徳寺納豆の元となったとも言われています。

「豆腐乳」は、沖縄の豆腐ようによく似ていて、豆腐ようは泡盛もしくは米焼酎を使って豆腐を発酵させています。

 

今回作ってきたものは「豆腐乳」です。

たまに臭豆腐のこと?と質問されますが、違います!

簡単に表現すると、東洋のチーズ。材料は、豆腐と塩と麹と砂糖と酒を合わせて作ります。

大豆の濃厚な香り、豆腐のなめらかさ、塩気、甘み、お酒の風味。

昔の豆腐乳はとても臭いものだったようです。
それは、麹の香りや使うお酒の香りが今よりも強かったのでしょう。最近の豆腐乳は臭くはありません。
甘みと旨味が強いです。
配合している糖分の量が増えていたり、麹の香りもさほどきつくなくなっています。

 

台湾での豆腐乳の最も多い使い方は、おかゆのお供。台湾の人に聞くと決まってこの答え。

私はおかゆのお供にとどまらず、豆腐乳のアレンジは無限大にあると思っています。
ベジチーズのようにも使われていて、パンやクラッカーと合わせてもおいしい。

台北の空港がある桃園という場所の近くに、台湾随一の豆腐乳メーカー「江記」さんの豆腐乳工場兼博物館があります。
製造工程やどんな食材を使っているかをお勉強できる場所。さらには豆腐乳手作り体験まで出来ちゃいます。

入り口には、昭和の香り漂う雰囲気。
真ん中の机は昔の台湾の家庭をイメージしたもの。
手前の押し車は、昔は手売りで豆腐乳を街中で売るのが主流な売り方だったところから。

壁には「江記」の歴史が説明されています。屋号のうちの「江」という文字は、創始者である江さんの名前からとったとのことです。

たまたま一緒に居合わせたのは幼稚園の園児たち。
先生の指導が慣れてて、子供たちもとっても素直で、かわいいかわいい。
私はこの子たちと同じように中国語のリスニングできるかな?

基本の豆腐乳の作り方は

① 豆腐を塩漬けして乾燥
② 米麹と豆麹と塩と砂糖を混ぜ合わせる
③ 容器に豆腐を詰めて②を敷き詰めていく
④ ひたひたになるように酒を入れる

麹菌が分解能力でアミノ酸たっぷり、ブドウ糖もたっぷり。

酒と塩と砂糖で腐敗防止しています。

ちなみにですが、これは台湾流の豆腐乳。

世界中、特に中国にはいろんな種類の豆腐乳があるようです。
中国の豆腐乳のカビは「ケカビ」という種類を使っています。
しかも、豆腐に直接ケカビをつけて発酵させます。
ケカビは白くてふわふわしているので、「毛豆腐」と呼ばれています。目視できるカビ。
豆腐にケカビをはわせるので、しっかりくっきり豆腐のまわりにモフモフとカビがつきます。

それをそのままオイルにつけたり、焼いたり、揚げて食するようです。

話は戻り、台湾の豆腐乳は「麹菌」を使っているので、味わいは味噌や醤油のような味わい。

今回作った豆腐乳は体験ということで、すでに豆腐は塩漬けして乾燥させたもの、麹と調味料(お酒やお砂糖が配合されているそうです)も合わせてあるものを使います。

 

①清潔にした容器に均等に豆腐をつめます。この時、できるだけ豆腐同士がくっつかないように。

②麹を豆腐の隙間にいれていきます。調味料の液体分があるのでストレスなくすいすい詰められます。

③また豆腐を重ねて、麹も加えて、蓋のギリギリ手前くらいまで空気が入らないように詰めます。空気があると不要なカビが生えてしまいます。

④最後に隙間に調味料の液体をさらに加えて、蓋を閉めます。

出来上がり。

家に帰ると少し蓋を緩めて酸素を送ります。麹菌は酸素があるところで動きます。

作ったというか、詰めるのにかなり神経を使ったという感じ。

半年たったら食べ始めてOKとのこと!さぁどんなお味になるかな?

 

基本の材料に+アルファしたものは博物館最後にすべて味見させてもらえます。

これがどれもおいしくて、さらに豆乳もいただけるのですがこれもおいしい。

台湾の定番豆腐乳には、プレーン以外にパイナップルが入っているものがあります。
これはほかの発酵調味料にも入れているのが多いのですが、パイナップルの酵素と酸味甘みで発酵もしやすくおいしくもなるためなんです。
パイナップルには「ブロメライン」という酵素が含まれており、これはタンパク質分解力(豆腐に作用)がかなり強いのです。

パインを食べて舌がピリピリしたりイガイガするのは、この酵素の刺激だと言われています。

そのほか、唐辛子、梅、タロイモ入りなんかもあります。

こちら以外の場所では普段売っていない味が試せるのは楽しいです。
ついつい買いすぎちゃいそうです。

迷いに迷って、黒豆豆腐乳とニンニク(大蒜)豆腐乳を買いました。

豆腐乳の世界、とても広そうです。

 

『江記豆腐乳文化館』

桃園市中壢区月眉路二段248巷85號
台湾鉄道「中壢」駅からバス「黄厝」駅下車徒歩5分

予約:最低20人以上、最大40人(人数に満たない場合はほかの参加者と合計で満たされば決行)
費用:100元
時間:約2時間
http://www.xpl.com.tw